大判例

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東京高等裁判所 昭和35年(ネ)261号 判決

控訴会社が日本スポーツ株式会社とは比較にならぬ大資本の会社であり、支払能力の点においても信用の点においても格段の開きがあることは公知の事実であり、これに当審における被控訴本人大塚謙四郎の尋問の結果により、日本スポーツ株式会社社長長井金太郎は従前賃料の支払を滞つたことがあり信用がおけなかつたことをも参酌して考えれば、控訴会社は既に本件建物の引渡を受けて映画館を経営し、本件建物の所有権移転を受けて間もなく日本スポーツ株式会社を吸収合併することになり、合併手続を進めて半年後にこれを完了した関係にあつて、本件土地使用の関係から見れば、合併による借地権の承継と径庭がないのであり、たとい本件建物譲渡に伴いなされた本件土地に対する借地権の譲渡につき賃貸人の同意を得なかつたとはいえ、間もなく行なわれた合併による権利義務の承継の場合に比し、賃貸人に特段の不利益を及ぼしたものとは考えられないし、これに賃借人となつた場合における控訴会社の信用の程度を加味するときは、前記借地権の譲渡に拘らず、これをもつて賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるものとなすを相当とする。従つて賃貸人たる被控訴人大塚謙四郎は右無断譲渡を理由として民法第六百十二条による解除権を行使し得ないものといわなければならない。されば本件土地に対する借地権は日本スポーツ株式会社から有効に控訴会社に譲渡され、控訴会社は右賃借権をもつて本件土地の所有者たる被控訴人らに対抗することができるから、控訴会社の本件土地占有は適法であるといわなければならない。

(谷本 堀田 野本)

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